「今日から会議の書記をやってくれ」
新卒で入った会社で入社3年目が終わろうとした頃、所属していた部署で毎月開催されていた定例会議のメンバーとして入ることになった。その時参加者の中で最年少だった私は、上司から指名を受けて議事録作成を担当することになった。
私 : え???議事録ってどうやって作成するんですか?
上司: 過去の議事録を参考にあとは適当にまとめてくれればいいよ。
当時は「教えてもらうのではなく盗むもの」という指導を受けていた時代である。上司から具体的な書き方について指導を受けることほぼなかった。今のようにパソコンやタブレットを会議に持ち込んで会議進行中に書き上げる、議事録用のアプリなどツールが発達しているという便利な時代ではなかった。過去の議事録を参考にしながら会議中はひたすらメモを取り、記憶を辿りながら内容をまとめていくことになる。その際に最初に注意したのは下記のとおり。
・フォーマット通りに書く
※会議名、開催日時、場所、参加者・欠席者、会議後の議事録配布部数
(メールの場合は誰に送るか)の確認
・会議の進行どおりにまとめる
・会議後当日から遅くても3日以内に上司に提出し、添削、承認を受ける
あとはひたすら会議中に書いたメモを基に、自分なりに言葉を補いながらまとめていた。
・言葉を言い換えて文章らしくする
・言葉に表れていない部分を推測して補記する
しかし、この方法でやっていくと一文が長文になりやすく、議事録としてまとめるのに時間がかかっていた。時間をかけてまとめた議事録ではあっても、上司から添削を受けて都度訂正してきた。
それでも、何度か経験していくうちに少しずつ上司からの添削も減っていき、作成にかかる時間についても短縮することができた。
・曖昧な表現はできる限り簡潔な表現に書き直す
・できるだけ同じ内容をグルーピングした上で「読み手にあわせて」並べ直す
・事実と意見の違いを明確にした上で箇条書きにする
上記のことを意識しながら議事録作成してきたことで「全体を俯瞰して見る」ことがいかに重要かを学ぶことができた。全体を俯瞰して見ることができると、何が重要で、何を伝えれば良いのか。さらには伝えなくて良いこと(議事録に載せなくてもよいこと)もおのずと見えてくる。
これらのことを経験してきたことを振り返って、改めて「文章を要約する」ということは、字数制限の中で「骨となる部分(最も伝えたいこと)」を明確にした上で「肉の部分(=不要な部分は削ぎ落して、加えるところを補足すること)」で補足して読む人に伝わりやすくすることだと私は考える。
(茅根 康義)