【6月の歳時記 衣替え】

6月になりました。 今年上半期の最終月です。 早いものですね。

恒例の和風月名ですが、6月は『水無月(みなづき)』といいます。

この名の由来には、「梅雨により天から水が無くなる」という説があります。

また一方で、『水無月』の「無(な)」は「の」という意味の助詞である「な」を表していると言われ、田に水を張る月であることから、本来は『水の月』という意味なのだとも言われています。

確かに、田植えが盛んにおこなわれている4月下旬から5月上旬は、旧暦では6月中旬から下旬にあたりますので、まさに6月は水田が一面に広がっている光景が見られていた季節でした。

最近は四季の区別が少し曖昧になってきつつあるので、梅雨の時季も一定ではありませんが、昔から6月は一般的に「梅雨の月」とされてきました。

そして、衣替えの月でもあります。

学生時代、6月1日の衣替えで制服が夏服に変わりましたが、まだ少し肌寒くて、「梅雨明けしてからでいいのにね」と友人と言っていたことを思い出しました。

年々温暖化が進み、今年は5月下旬からかなり暖かくなりました。

個人的には、きっちりと線引きをせず、衣替え移行期間を設け、一定期間の間で各自自分の体感で衣替えをするのがよいのでは?と思っています。

衣替えの歴史は古く、日本では平安時代から年2回行われていました。

衣をわざわざ入れ替えるほどの数を持っているような人たちということで、衣替えは最初、貴族の間での風習でした。

この衣替えは、単に季節に合わせて衣服を出し入れするという目的だけではありませんでした。当時は、季節の変わり目には「ケガレ」や「厄」等が溜まると信じられていたため、衣服を変えることで厄払いをしていたのだそうです。

江戸時代になると幕府の命により、武士は年4回の衣替えが義務付けられました。

その後、明治時代になると洋服の普及により、衣替えのルールは簡素化され、再び年2回になりました。それが現代まで続いているのです。

現代でも、ほこりやダニ、ハウスダスト、カビや花粉などが少しずつ家の中や身の回りに溜まっていき、健康に悪影響を及ぼすこともあります。

これはある意味、「ケガレ」や「厄」と置き換えても良いでしょう。

この時季、ちょうどエアコンのお掃除などをする家も多いのではないでしょうか。

衣替えを機に、厄払いのつもりで家中のあらゆるところをお掃除してみるのも良いですね。

環境も気分もすっきりとして、夏を迎えられそうです。

(植木 乃梨子)

   

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