初めてちゃんと人と会話できた気がした

『ブルーピリオド』という漫画をご存知でしょうか?
なんでも器用にこなせるけれど、一生懸命になれることがない男子高校生が、絵を描く悦びを知り、東京芸大を目指す物語です。
主人公が「絵を描く楽しさ」に目覚めるシーンでこんなモノローグがでてきます。

「その時 生まれて初めて ちゃんと人と会話できた気がした」
(出典:山口つばさ『ブルーピリオド』1巻)

このモノローグを読んだとき、「あ、私もこの気持ち知ってる」と思いました。
ただし、私の場合、絵ではなく「文章」が媒体でした。
私は、本や漫画の登場人物について、書かれていないことを考えるのが好きな子どもでした。
「なぜ、こんな発言をしたのか」「この後、この人たちはどうなったのだろう」などなど、いろいろ想像していました。
しかし、親や友達に話すと「なんで、そんなことが気になるの?」という反応がかえってくるので、一人で考えて楽しんでいました。

小学5年生のころ、国語の授業で読んだお話しについて、作文を書くことになりました。
書く内容は感想でもいいし、好きな登場人物について考えを書くでもいいと、自由に書いてOKというものでした。
そこで、私は想像したことを使って、後日談を書いてみることにしたのです。
なぜそんなことを思いついたのか覚えてないのですが、とにかく一生懸命書きました。
書いた文章は全員分まとめられ、文集として配られました。
そして、他の人の文章を読んで、共感したこと、おもしろいと思ったことを書いた小さな紙を先生に提出することになりました。

この授業からしばらくたったある日、私は先生に職員室に来るよういわれました。
なにか叱られるようなことをしただろうかと不安に思いながら職員室に入ると、
先日書いた小さな紙の束を渡されました。
パラパラめくってみると、すべて私の書いた後日談への感想でした。
「おもしろかった」「登場人物の気持ちがよくわかった」
「あの人も悪い人じゃなかったと気がついた」など、たくさんのクラスメイトが感想をくれたのです。
このとき、私は「自分が話したいことが初めて人に伝わった」と感動しました。
大人になったいまでも覚えているくらいうれしかったのです。

この出来事を思い出したのは、実は、先日書いた
【山西葉月】私が文章添削士になった理由
というブログがきっかけです。

記事につけるイメージ画像を他の文章添削士さんが選んでくれたのですが、ピックアップしてくれた画像を見て、「あ、伝えたいことがちゃんと伝わった」と当時感じたうれしさを思い出させてくれました。

文章は、絵や写真と違い、表現手段は基本「文字」のみです。
しかし、書く順番や内容、言葉のニュアンスによって読み手に与える印象を大きく変えることができます。
みなさんは、その文章を書くことで相手に何を伝えたいですか?自分をどんな人だと思ってほしいですか?
伝えたいことがうまく伝わらない方、ぜひ言葉の調律士である私たちにご相談ください。

(山西葉月)

   

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