【7月の歳時記】

6月が終わり、1年の折り返しとなりました。

7月に入るといよいよ夏が来たという感じがします。

6月21日に夏至が過ぎ、日照時間は日に日に短くなっていくのですが、暑さはこれからが本番というところです。

では、今回も7月の月名からご紹介してまいります。

7月の和風月名は『文月(ふみつき)』といいます。

名前の由来は、七夕(たなばた)と深い関りがあります。

七夕には短冊に願いごとを書いて笹につるし、星に願い事を祈るという伝統行事が一般的に知られています。しかし本来は、短冊には詩歌をしたため、文章力や文字の上達を祈るための行事でした。の他、書物(文)をひろげ、夜風や月に曝す(さらす)習慣もあったことから、『文披月(ふみひらきづき・ふみひろげづき)』とも呼ばれ、それが転じて『文月』になったといわれています。

七夕(たなばた)は7月7日ですが、その日は5節句の内のひとつである、『七夕(しちせき)の節句』の日でもあります。(同じ字でも読み方が異なります)

中国には古くから、7月7日には『乞巧奠(きっこうでん)』という風習が行われていました。その日の夜に女性たちは織女星にお供え物をして、裁縫の上達などを祈ります。

一方日本では、神様に衣を捧げるために水辺で機織りをする『棚機女(たなばたつめ)』という女性たちの言い伝えがあります。

この乞巧奠と棚機女が結びついて、七夕(しちせき)を「たなばた」と読むようになったのだと言われています。

中国から入ってきた情報や行事が、日本古来のものと結びついて、新たな文化が生まれた例のひとつですが、こういうものは、探してみると色々な分野で非常にたくさんあります。

さて、七夕(しちせき)の節句には、古くからの習わしで『七夕(たなばた)素麵』を食べます。冷たく、喉越しの良い素麺は、食欲が減退する夏を乗り切るにはぴったりの食べ物ですが、7月だけに限らず、夏の間は人気の食べ物ですね。

7月には七夕の他にも、山開きや川開きなどが行われます。

楽しめる期間は約2ヵ月ということですが、富士登山や川での舟遊びなどを計画している方は、これからがいよいよシーズンの始まりです。十分気を付けてお楽しみください。

最後に、これから9月のお彼岸まではしばらく暑い日々が続きますが、夏を満喫するためにも、しっかり体調を整えて過ごしていきましょう。

(植木 乃梨子)

   

関連記事

  1. たったの3つ!センスがなくても文章が書ける簡単なコツとは

  2. 【9月の歳時記Ⅱ】

  3. 2月のなぜを探る

  4. 【1月の歳時記と五節句】

  5. 語彙力は視写によって鍛えられる⁉

  6. 【日本人にとっての桜】