「お前はこんなことも知らないのか!」
工場長から部屋中に響くほどの大声で叱られた。
食品製造会社の工場に勤務していた時のことである。
業務管理課という事務的な仕事をしている部署では、製造現場が休みになる水曜日に機械メンテナンスなどで出勤している作業員のために昼食を調理するという役目があった。
私が配属になって最初の頃は学生時代に中華料理屋で働いた経験がある、あるいは外食チェーン店の店舗で働いた経験のある直属の上司が担当していた。しばらくして通販販売商品販促のために試作をすることになってからは、調理の勉強を兼ねて私が担当することになった。
そんなある日のこと。
私は工場長に出す昼食を調理していた。その当時、器に入れる順番に無頓着だった私はつゆを入れてからうどんを盛っていた。「どちらでも大差はないだろう」という自分勝手な判断から調理し直すこともせずに工場長に提供した。それを見ていた工場長から上記の言葉で叱られたのである。
叱られた時に私は何を言われているのかわからなくてただ茫然としていたのだが、後で直属の上司から説明を聞いてようやく叱られた意味が理解できた。
うどん・そばは麺を器に盛ってからつゆをかける
ラーメンはスープを器に入れてから麺を盛る
ラーメンの場合、「麺を後から入れることでスープ表面に浮かぶ油分が麺に絡みつき、喉越しが良くなる」とのこと。つまりラーメンの麺は茹で上がった後の湯切も大事なプロセスである。その経験から私が学んだことは、「調理したものを美味しく食べてもらうためのプロセスには根拠があってルールがある」ということだった。
つまり私は、うどんを調理していたのにラーメンの調理方法を取っていた。
そしてお客様(食べてもらう人)に美味しく食べてもらおうという視点が抜けていた。
その奢りを工場長は見逃さなかったのである。
食品製造会社の工場を退職してから既に5年が経過しているが、今振り返ってみると文章添削士になるために貴重な経験をしてきたのだと思えるようになった。
そんな通販販売商品の試作を通して経験してきた「しくじり話」は後編で。
【後編に続く】
(茅根康義)
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