【秋分の日とお彼岸】

9月の中旬を過ぎると間もなくお彼岸です。
お彼岸は秋分の日を中心に前後3日間を合わせた、計7日間のことをいいます。

そのため、秋分の日のことは「お彼岸の中日(ちゅうにち)と呼びます。
2022年は9月23日が秋分の日なので、彼岸の入りは9月20日、彼岸の明けは9月26日になります。

お彼岸には、昔からお墓参りに行く風習がありますが、
なぜお彼岸にはお墓参りをするのでしょうか。

秋分の日は昼夜の長さが等しくなり、太陽が真西に沈みます
(実は昼夜の長さは全く同じではなく微妙に昼の方が長いです)。
浄土思想では、極楽浄土は西の方角にあるとされているため、太陽が真西に沈む日は
「あの世とこの世が最も通じやすくなる日」と考えられていました。

本来、お彼岸とは供養を行い、悟りの世界に至るための修行をおこなう期間でした。
それが次第に一般社会ではご先祖様を供養する行事(習慣)となり、
時代が変わってもお墓参りの風習として続けられてきたということです。

元々彼岸(ひがん)と言う言葉は()(がん)と対になって使われ、彼岸は向こう岸(=死後の世界)
此岸はこちら岸(=現世)を表しています。また、彼岸は煩悩から解き放たれた悟りの世界
を表し、此岸は煩悩に囚われた苦悩の世界を表しているとも言われます。

「暑さ寒さも彼岸まで」と言う言葉がありますが、夏の暑さや冬の寒さも彼岸が過ぎれば
落ち着き、過ごしやすくなるといった意味で使われます。


ところが、これには他にも説があると言われています。

「辛いこともいずれ時期が来れば去っていく」という意味や、「暑い寒いなどは、現世で
生きるうえでの辛さや苦労などを指し、それもこれも彼岸に行くまで(死ぬまで)のこと。
大変だと感じるのも生きているからこそである」などの意味があると言われているそうです。
(法話より)

西方浄土などの話が出るとお彼岸は仏事と思われがちですが、実は関係ありません。
インドにも中国にもこのような風習はありませんので、日本特有の行事であると言えます。
仏教・儒教・神道や先祖崇拝の考え方などが影響し合って生まれたものと考えられています。

毎年ニュースでも報じられていますが、秋分の日には皇居においても重要な神事が行われています。
秋季(しゅうき)(こう)(れい)(さい)といいますが、皇霊殿において天皇が祭祀をお努めになり、歴代の天皇・
皇后・皇族の霊を祀る非常に重要な宮中祭祀です。

このように、「お彼岸」は天皇をはじめ皇族の方々も私達一般の国民も、先祖に想いを馳せ
感謝と祈りを捧げる期間ということなのです。

(植木乃梨子)

   

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