【就活生必見!】自己分析で深堀りする自分の強みの見つけ方

 就職活動を始めようとしている皆さん、「自己分析」のやり方に戸惑っていませんか?「どんなツールを使えばいいんだろう?」「自己分析やり始めたけどつらい、、、」など、就職活動は先の見えない迷路に迷い込んだような感覚に陥ってしまいがちですよね。自己分析は、自分の将来を見据えるうえで必要な“自分の強み”を知る一つの手段です。
 今回、特別に自分史アドバイザーの田中むつみさんをお招きして自己分析についてお話を伺いました。ぜひ就職活動や転職活動にお役立てください。

今回のインタビュイー

profile
田中むつみさん
自分史活用アドバイザー・編集者・ライター・メンタルコーチ
profile
杉山有紀子
文章添削士協会 blog班編集担当

【質問①】自己分析とは

●自己分析と客観性

今回のテーマは自己分析です。自分史活用アドバイザーでもある田中さんご自身は自己分析についてどのようにお考えですか?これから就職活動に取り組む就活生の皆さんに向けてES作成や面接対策にも活用できるポイントについてもお伺いしていきます。

私自身にとって、自己分析は自分をどれだけ客観的に観察できるか、俯瞰できるかということです。自分を俯瞰するとは、ある出来事に対して自分が幽体離脱したかのように自分のことを上空から見るイメージです。自分を客観視することでより自分を深く知ることができます。

●自己分析で得られること

日々生きているだけで、自分に色々なことが起きますよね。あらゆる出来事をどれだけ事実として抽出し、伝えたい相手に客観的に伝えることができるかがポイントです。人間の記憶はどうしても気が付かないうちに解釈まみれになっています。事実と解釈に関しては『サルトルの教え』という本がおすすめです。

本当に色々なことが起きます。無意識に解釈まみれになっているということは自分のことを客観的にみれていないということでしょうか?

はい。起こった出来事をどれだけ自分のこととして考えられるか、インサイドアウトで考えられるかが重要です。「すべての源は自分である」と考えられることは、自分を独立した「個」として考えられるということです。自分のせいとかそういう意味ではなくて自分を顧みることで気づきを得られるということです。

Point❶自己分析とは、客観的に自分を振り返ること

  • 自分をどれだけ客観的に観察できるか、俯瞰できるかが大切
  • 出来事に対して自分が幽体離脱したように自分のことを上空から見るイメージを持つこと
  • 自分のことを第三者の立場から見るように冷静に物事を捉えること
  • 自分に起こった出来事を自分事として捉えることで「気づき」を得られる

【質問②】自己分析の必要性と自分史の書き方

●自己分析と就職活動

実際に、多くの就活生が就職活動の事前準備として自己分析をしています。自己分析を書く時のポイントはありますか?

就職するために必要なことは、まず志望先に自分をPRすること、自分が今までやってきたことをアピールすることです。ESや面接などの自分をアピールする場面で、採用担当者はその人がある出来事からどれだけ客観的に自分自身を顧みているかをみています。そこで、自己分析ができていると自分を客観視した上で「私はこういう人」と志望先に伝えやすくなります。就職活動する上でも大事なポイントです。

「私はこういう人」と相手に伝えやすくなることが自己分析のポイントのひとつといえますね。田中さんのHPにある一文のように、ご自身の経験からご自分の強みに気づいたエピソードをお聞かせください。

”自分のことを、ずっと「自己主張ができず人に合わせてばかりいる」と否定してきたが、編集の仕事についてみると、「人の話を聞くのが得意」だという「強み」に気づく”

引用元:田中むつみさんHPプロフィール

私はこれまで編集の仕事をしてきました。編集の仕事で一番重要なことは「人の話を聴くこと」です。在職中に、自分で「話を聴くこと」が得意だと気づいた訳では決してありません。自分の強みに気づいたきっかけは、人から褒められることが多くあったからです。そういった経緯があり、どうも自分は「聴くこと」が得意なのかなと思うようになりました。長い間、仕事としてやってるうちに経験値が積み重なって強みになっていった部分が大きいとは思います。でも、自分のことは自分ではよく分からないことがありますよね。私は自分が得意なこと、強みになることは人から教えてもらうことが多かったです。

HPの一文にある「自己主張ができない」や「人に合わせてばかりいる」という言葉は、自分が考えている自分のことです。要するに、自分の特徴をマイナスに捉えてしまっています。しかし、その特徴をプラスに捉えると、「人が何を思っているのか、人がどんな意見を持っているのかを聞くことができる」とも考えることができます。

仰る通りですね。捉え方次第でマイナスにもプラスにも考えられます。長所と短所は表裏一体ということでしょうか。

はい。他人から見た自分のイメージが衝撃的なことってありますよね。皆さんにも自分の短所が他人から長所といわれた経験はありませんか?自分や他人を介して、物事はあらゆる方向性から考えることができます。自己分析で大切なことは一つの方向性のみで考えないということです。

自分の考えだけなど、一つの方向性で考えないことで自分の新たな一面を発見できそうですね。田中さんは人から気づきを得た経験から自分史活用アドバイザーを目指したのですか?

私が自分史活用アドバイザーになったきっかけは、自分史活用アドバイザーという存在を知った時に自分の中でふと何かが結びついて、面白そうだなと思ったことです。その背景には好奇心の強さもあると思います。基本的に人のことを聞くのが好きで、人の人生に興味があるからやってみたいと思いました。「私は話を聴くのが得意だからピッタリ」なんて思った訳では全くないのです。実際の自分史活用アドバイザーの活動では、「自分史を本にしたい」「文章にしたい」という方がいらっしゃるので、その時に編集者としての経験も役に立っています。

●自己分析のやり方

これまでのご自身の経験がすべてつながって活かされていますね。自分史を書くことで、自分と向き合うこと、人から褒められることや人の意見を聴くことで得られる気づきが重要なポイントといえますね。実際に、自分史を書く上でのポイントやこれはした方がいいというポイントはありますか?

自分史には時系列型やテーマ型などありますが、絶対にこの方法で、こうやった方が良いということはないです。必ずしも皆が自分史を書き、文章にする必要はありません。ただ、年表を作ってみることはおすすめします。フォーマットに沿って年表を作るだけでも効果があります。実際に、自己分析をすると実感できますが、基本的に自分と向き合うことは結構キツイこともあります。年表で出来事を整理していく中で、色々な出来事を走馬灯のように思い出します。ここでおすすめしたい映画は『インサイドヘッド』です。主人公の少女の頭の中が舞台で、「ヨロコビ・イカリ・ムカムカ・ビリビリ・カナシミ」といった感情が出てきます。5つの感情を持つ愛らしいキャラクター達が人間の記憶を司る頭の中でどうなっているかよく表現されているおすすめの映画です。自分の感情を整理する自己分析や自分史年表を書く際の参考になるはずです。

私の大好きな映画の一つです。この映画では、実際に起きた出来事である「事実」に対して、自分の感情や記憶のいわゆる「解釈」がごちゃ混ぜになっていることを体感できますね。そこで、年表に書き起こすことで、良くも悪くも過去に抱いた自分の感情や記憶を甦らせて整理するイメージでしょうか。

そうですね。年表にすると、過去の出来事と同時に当時の記憶を引っ張り出すことになります。たとえば、25歳の自分が年表を書いた場合、25歳の現在から過去に起きたことを振り返ることになります。振り返らないでいると、10歳や15歳の感情のまま記憶されて、時間が止まっています。

まさに幽体離脱して自分を見ているイメージで年表に整理していくのですね。

Point❷自己分析の必要性とおすすめの自己分析方法

  • 人から褒められること、よく言われることがヒントであり、自分の強みは周りのひとが知っている
  • 強みになる部分は先天的な能力もあるが、自分の経験値によってより魅力的な強みとなる
  • 自分が興味をもったことに関して冷静に分析してみる
  • 自分の人生で起こった出来事を時系列で振り返り、整理して年表にする

【質問③】自己分析で得られるメリット

●自己分析した場合

実際に、自分史の年表を書くことでどのようなメリットがありますか?

年表を書くメリットは客観的に自分を見つめられることです。年表を書いて、過去の出来事を引っ張り出し、今の25歳の自分が過去の出来事の記憶をもう一度整理し直すことができます。改めて振り返ることで、過去の自分と今の自分では解釈が180度変わることもあります。自分の中で過去に引っかかっていた出来事が「ああこれはこういうことだったのか」と気づきを得られることもあります。年表を書くことで自分の人生が整理されることにつながるのです。

なるほど。過去の出来事を思い出して今の自分が振り返ることで、過去の自分とは違う尺度で自分を冷静にみることができそうです。一方で、ネガティブな出来事ほど記憶に残り、そのままになってしまっている気がします。

年表にして過去を振り返る中で、忘れていたことを思い出したり、忘れたかったことと向き合うことになったり、さまざまなことが出てきます。そこで、改めて気づく感情があります。「自分はこういう人間だ」、「こういうことを子供の頃からやっていた」、「子どもの頃からこういうことが好きだった」、「こんなに好きだったのにどうして諦めてしまったんだろう」、「どうして今やっていないんだろう」など、今の自分にとってたくさんの発見があります。

実は年表を書くということは過去のことをやっているようでいて今のことになります。また、今のことをやっているようでいて未来のことになります。これは自分の人生にとって大きなメリットです。年表を作るだけで実感できるのでぜひ実践してみてほしいです。

実際に、自分史年表を作られた方の反応はどうですか?

セミナーでクライアントさんからは「やっぱり私はこれをやる」、「やりたかった」、「これでいいんだ」と言われます。人によって、忘れていた夢を思い出したり、「もう一度やってみよう」と思ったり、「子どもの頃から私は本当は〇〇を志してたじゃないか」ということを思い出す効果があります。たとえば、方向性を迷っている方の場合は年表を書くことで確信を得ることができ、就職活動にも役立ちます。年表は自分本来の思いや素質を思い出し、確信につながり、自分の信頼を取り戻す効果があります。

自分史年表を作ることは、多くの気づきを得られる重要なツールといえますね。学生時代を過ぎてしまった私でも年表を書く効果はあるでしょうか?

年齢は関係ありません。何歳でも効果はあります。60歳の方でも、20代の若い方でも同じです。若ければ若いほど年表が短くて済みますので、よりおすすめです。以前、自分がやっていることに確信が持てない30歳の女性がいました。実際に、年表を作成して「これでいい」と方向性が明確になったことで、晴れやかな表情へ変化したことが印象的です。

自分史年表を書くことで、過去が今につながり、今が未来につながっていくことは最大の魅力ですね。自分の人生を明るく照らしてくれる軸となりそうです。

自分史年表を書くなど、自己分析で得られるメリットは多いです。中には、年表を書くことが難しい、時間がない方もいらっしゃいます。その際は、よくこのように質問します。

(質問)
たとえば15歳の時にすごく辛いことや、忘れられない出来事があったとします。
そこで、今の自分がタイムスリップして15歳の自分に会ったらなんて声をかけますか?

たとえ年表を作らなくても、上記の質問を自分に投げかけて考えることで、今の自分からもう一度過去の自分をみてあげることができます。自己分析で最も大事なことは自分を承認してあげることです。実際に、自分史を書いた方は「これまで私には色々なことがあったけど、なかなか良い人生だった」と仰います。「色々なことがあったけど私、良い人生送ってるわ」、「色々な人に恵まれた」など、自分に対してすごく肯定的になれる方が多いです。自分を肯定してあげられる点も自分史を書くメリットといえます。自己分析をすることで自己肯定感が上がり、自分を承認しやすくなります。その観点から自分史を年表にまとめることは自己分析に適したツールといえるでしょう。

Point❸自己分析をした場合のメリット

  • 年表を作ることで、自分の人生の棚卸ができる
  • 将来を見据えた就職活動で知りたい自分の情報が詰まっている
  • 「客観視」することで忘れていた本来の自分らしさや強みを見つけられる
  • 肯定的な気づきを得られることで自信の無さが払拭され、自分を承認してあげられる

●自己分析しなかった場合

過去の出来事を自分が冷静に新たな視点からみることで、ポジティブな一面に気づき、ありのままの自分を認めてあげられるということですね。一方、自己分析をしないとどのようなデメリットが生じてしまいますか?

自己分析をしないと、過去の出来事や自分が「辛いな」と思っていたことが当時の感情のまま置き去りの状態です。記憶にどろーんとした感情が残ってしまうイメージです。ごちゃごちゃして、もやっとしたまま、なんとなく何もしないで「あの時あんなことがあったな」でおしまいになっている。要するに、完了していないことがたくさん残っているということです。

私にもあります。「あれはひどいこと言っちゃったな、でもその時は腹が立っていてそのままになっているな」など。そこで、当時の出来事を一度取り出してよく考えてみる。すると、「私があの時腹を立てたのは当然だったけど、あの人はあの人で目一杯だったのかも」と冷静に考えられることがあります。昔の話で、もう二度とその人には会えないし謝ったりもできないけれど、私の中でその話を一回完了させることが大切です。すると、当時の出来事の捉え方が変化して前向きに考えられるんです。

時が経ってからネガティブな出来事をフラットな自分で冷静に振り返ることで、自分の中の記憶のイメージを塗り替えられるということですね。完了していないことがたくさん残っていると自分にどのような影響を及ぼしてしまうでしょうか?

完了していないことをそのままにしていると、自信のなさにつながります。「私なんて」、「私ダメだしな」など、自己否定してしまいます。自己否定の原因は、完了していないことがたくさんあること、当時の出来事を冷静に振り返っていないことです。起こった出来事を冷静に振り返っていないために、何の根拠もなく自己否定になりがちです。

気づかないうちにだんだん自分がおざなりに、置いてけぼりになっていってしまうんですね。

生きていると本当に色々なことが起こりますよね。私もこの歳になって人生を振り返ってみると「色々あったけどよくやってきたな」と思えます。そうなるためには、最初に話した「客観視」というのが大事です。「客観視」がベースとしてないと諸刃の刃になりかねません。「客観視」がきちんとできないと、結局辛くなったり「私やっぱりだめじゃん」となってしまいます。そこで、年表にして色々と起こった出来事を取り出してみると冷静に考えられる、いわゆる「客観視」ができるわけです。

Point❹自己分析をしない場合のデメリット

  • これまでに起こった出来事を冷静に振り返れずに自己否定の原因となってしまう
  • 客観性を持たずに主観で判断してしまい、自分のことを知るための「気づき」が得られにくい

【質問④】自己分析と他己分析をする場合の共通点と相違点

●自己分析と他己分析の共通点

実際に、自分史を書き上げたとします。すると、自分の特徴をつかみ、自分からみた自分を他の人からも「確かにそうだ」と共感してもらえることはより自分の特徴的な強みといえます。一方、「確かにそうだ」と共感してもらえない場合もあるかと思います。「印象と違う」と言われてしまった場合、内容に応じて表現を変えて、落としどころを探ってみる必要があると感じます。

そうですね。そういう場合もあると思います。

そこで質問です。自己分析のファーストステップともいえる自分史を活用するために、自己分析と他己分析の関わりはどのように考えるべきでしょうか。自己分析と他己分析をする場合に、両者にどのような影響があるか、共通点と相違点といった観点からお話を頂きたいです。

ダグラス・T・ホールという心理学者が『プロテアンキャリア』を提唱しています。その中で「キャリアとは人から認めてもらうものではなくて、自分のものである」としています。そしてキャリアにおいて大切なのは、「人が自分をどう見るか」ということです。「人が自分をどう見るか」ということには、主観的側面と客観的側面があります。自己分析では両方の側面を考慮すべきです。つまり、自己分析の中で他己分析も活用すべきです。

Point❺自己分析と他己分析の共通点

  • 自己分析と他己分析の共通点=「客観性」
  • 「人が自分をどう見るか」も自己分析には関わってくる
  • 自分(一人称)で見た情報だけでなく、他者を交えて第三者からも情報を得ることでより説得力がある特徴や強みを見出せる
  • 自己分析と他己分析の両輪が働くことでより深い自己分析となる

●自己分析と他己分析の相違点

自己分析や他己分析に関することがすべて詰まっている絵本を紹介します。ヨシタケシンスケさんの『ぼくのニセモノをつくるには』です。ダグラス・T・ホールさんが難しく書いてあることをよしたけしんすけさんはわかりやすく絵本で表現しています。絵本の中に、「ぼくって何者だろう、ぼくはたぶん人気者」というページがあります。

「ぼくの周りのひとの頭の中にぼくは一人ずついるみたい。ぼくはみんなにどう思われているのかしら」
「お母さんからみたぼく、弟からみたぼく、先生からみたぼく」
「ぼくがちょっとちがうと思っても全部ぼくだよ」

引用元:『ぼくのニセモノをつくるには』 著者:ヨシタケシンスケ 出版社:ブロンズ新社

これはすべて他己分析ですよね。

周りの人から言われる中で「なるほどね」と思うこともあれば「違う」と思うこともあります。その人がそう思うことは止められないのです。それが当たり前で、それがデフォルトなんです。みんな同じ世界に住んでいるようで違うレイヤーに住んでいます。なので、仕方がないことです。しかし、そのことを知っていることはとても大事です。私も色々な人から自分のことを教えてもらう機会がたくさんありました。「人に聴くこと」は大事です。序盤に挙げていただいたHPの一文のように、いかにも自分が気づいたように書いていますが、私が人から言われたことです。

自分が気づいていない自分のある一面は周りの人が知っていて、自分にとって多くの気づきが周りの人から得られるということですね。早速、周りにいる人に自分のことを聞いてみたくなりました。

昨日もあるコミュニティのキャリアコンサルタントの方の講演会を聴き終えた後に気づきを得た出来事がありました。私が「今日はありがとうございました、失礼します」と話した時、「本当に、むっちゃんがずっと私の方を見て頷いて聴いてくれたからとても話しやすかった、ありがとう」と言われて。考えてみると以前にも私の場合は、人から「本当に落ちついて話せたよ」と言われることが何度もありました。すると、自然と自分でも「あぁそうなんだ」と思えて。ほかに、インタビューの場では「ついつい喋っちゃいました」、「たくさん引き出してくれてありがとう」と言われることがあります。

田中さんのことを知っている身近な人からの言葉だとさらに素直に言葉を受け取れそうですね。

確かに、私にとって身近な人からの言葉というのも大きいと思います。私にとっては無意識の行動や言動ですが、人から何度も言われると、「そうなんだ、私、人の話を聞くのがうまいんだ」と自分で納得しやすくなります。ぜひ皆さんも人に聴いてみてほしいです。どなたにも共通する特徴が出てくるはずです。

自分では分からない自分の特徴に気づかせてもらえるのは嬉しいですね。ほかに、人から言ってもらってはじめて気づいたことはありますか?

人前で話す場で、「分かりやすかった」「面白かった」と言ってもらえることが多いです。そこで、「そうなのか」と。初めて新たな自分に気づくわけです。どうしても自分だけで考えると気づきの範囲に限界があるんですよね。自分では書くことが得意だと思いますが、それは自分の中のごく一部に過ぎません。

人に聴くことで自分の強みも必ず見つかります。学生さんは特に、これからの未来に向かって時間をかけてでも自分を知ることは大切です。ぜひ、自己分析だけでなく他己分析もやってみてください。周りの人、家族や友人に「僕ってどんな人ですか」、「私ってどんな人ですか」、「あなたは私のことをどう思っていますか」と聞いてみてほしい。人に聞いていく中で、「それはどうかな」と思うことも出てきます。

でも、それは当たり前です。その特徴を受け止めて自分の新たな気づきに目を向けてみてください。「そういえばそうなのかもしれない」「そんな強みがあるのかな」と思って受け止めてみる。そして、その特徴を「私にはこういう所があるかもしれない」「人からこういう風に言われることがあり、こういう所が強みかもしれない」と考えてみる。自己目線と他者目線の両輪があって初めて自己分析になります。両方の目線でみることはとても大切です。

あくまでも自分史は自分目線で書き上げていいということ。書いた後にほかの人に見てもらい、たとえ共感してもらえなくても新しい視点を受け入れること。そこで新たな気づきを得られるということですね。

自分史を書いた後、誰かに見てもらって「え?」と言われることがあったとしても、それは仕方がないことです。他人が感じた解釈は変えられないので、もう「そういうものだ」って思った方が良いです。

Point❻自己分析と他己分析の相違点

  • 自分ではわからない自分の強みを知る手段は「人に聴くこと」
  • 自分が気づいていない自分の魅力はなにげない日常の出来事を通して周りの人から気づきを得られる

【質問⑤】他己分析の必要性

●自分目線から見た自分

先ほど、自己分析と他己分析が合致していなくても、あくまで自分主体で自己分析を進めていいとお話をいただきました。しかし、「確かにそうだな」と自分の考えがスライドする瞬間もあると思います。その場合は、他己分析の意見を取り入れて自分の考えになったということになるのでしょうか?

考えがスライドするということは、“「そんな強みがあると思わなかった」という気づきを得た”ということですよね。あるいは、“「自分では欠点だと思っていたことが欠点ではなかった」という気づきを得た”ということもあると思います。自分ではこう思っていたことが、人にはそう見えていなかったことに気が付くということ。もしかしたら逆もあるかもしれませんが、「人に聴く」ことで新たな見方や気づきを得られます。

●他者目線から見た自分

人に聴いてみた自分では分からない自分の特徴は、ポジティブな面とネガティブな面のどちらも受け止めてみるのが良いのでしょうか。

ポジティブな面とネガティブな面は捉え方次第で変わります。なぜなら、自分と他者では物事の解釈が異なるからです。下記のように、自分の解釈では欠点と思う部分が、周りの人の解釈ではむしろ長所になることもあります。

■自分が思う欠点…「こういう所がダメなんだよな」「ここを直したいな」という所
(例)人見知り、意見が言えない、飽きっぽい
■周りのひとが思う自分の欠点…「ここが良い」「そのままでいてほしい」という所
(例)自分の世界観を持っている、人の気持ちを考えることができる、好奇心が旺盛

上記の(例)のように、自己分析と他己分析の両面から自分の特徴を捉えることで、就職活動の場で自分をアピールしやすくなります。就活でネガティブな一面をポジティブに伝えた方が遥かにアピール度は高いです。たとえば、「私にはこんなに良い所があります」、「こんなすごい人間です」という言葉より、「こういう弱点があります」「でもそれはこのような強みでもあります」と発想を転換して物事を考えられることのアピールにもなります。

実際に、就職活動の場面で「あなたの弱点は何ですか」という質問もありますよね。

はい。そこで、「ここがだめです」、「あそこがだめです」と言ってるだけでは全く自己アピールにはなりません。

そこで、自己分析した一つの方向性からの視点だけでなく、あらゆる視点から自分をみた他己分析が役立つということですね。

はい。物事を多角的に捉えることは社会人になってからも必要なスキルです。学生時代に「自分のことを受け止めること」、そして、「ほかの人に意見を聴くこと」に慣れておくことは大切です。「人に聴くこと」で、自分にとっての欠点がほかの人にポジティブに言ってもらえる経験は自分の財産になります。

「人に聴くこと」で自分の財産を得たうえで就職活動を迎えることで、自分の弱点を発展させて伝えやすくなりますね。

自分の弱点をほかの人の視点も交えると、「自分のこんな一面はこういう良い点なんだ」という考えに変換させることができます。「自分では〇〇な所が弱点だなと思っていたけれど、家族や友人にこういう風に言われたことで〇〇な強みに変わりました」と伝えられると良いですね。就活の大事な場面で伝えられると評価も変わってくると私は職業訓練校で習いました。

確かに、人からの意見を織り交ぜて自己分析すると自分の強みや弱みの表現方法が広がりますね。

自分史を書くことで、自分が今まで生きてきた過去を振り返り、冷静に棚卸ができる。また、労力をかけた分、自分のことを深く知ることができ、新たな気づきが現在の自分に還元される。田中さん、とても魅力的な自己分析について、とてもためになるお話をありがとうございました。

こちらこそありがとうございました。

Point❼自己分析に他己分析は必要

  • 自分目線と他者目線を織り交ぜることで自分の強みと弱みに冷静に向き合うことができる
  • 自己分析と他己分析を両方行った上で最終的な自己分析につなげていくことが重要

【オススメ】田中むつみさんご紹介の本2冊

最後に、田中さんがおすすめする自己分析に役立つ本をご紹介します。

●おすすめ本

■事実と解釈のちがいを学べる本

 堤久美子『超解釈サルトルの教え』光文社

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画像出典元:光文社 引用元:Amazon

●おすすめ絵本

■自分が長く続く歴史上の1人の存在であることに気づく絵本

ヨシタケシンスケ『ぼくのニセモノをつくるには』ブロンズ新社

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画像出典元:ブロンズ新社/引用元:Amazon

【自己分析のまとめ】

今回は自分史活用アドバイザーである田中むつみさんに自己分析についてインタビューを行いました。自己分析は自分の経験から深堀りすることで自分の強みや弱みなどの特徴を知ることができます。ご紹介したおすすめの本と合わせて適性検査や診断ツールも活用し、就職活動に臨みましょう。

“自己分析を制する者は就職活動に限らず自分の人生を制する。”

これから就職活動を始める学生や自己分析にお困りの皆さんのより充実した将来への一歩につながりますよう、ひとつの参考にしていただけますと幸いです。

●お知らせ

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(文章添削士協会blog班)

   

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