今年も残すところ、あとひと月となりました。
一年の締めくくりの月になる12月は、とても行事の多い月です。
また、新しい年を迎えるための準備もあり、世の中が全体的にあわただしくなります。
他の月の和風月名は知らなくても、12月が「師走」であることは多くの方がご存知のことと思います。最近では、「普段は冷静沈着な教師や医師も走らなければならないほど忙しい月であるという解釈もある」とネットに出ていましたが、本来の「師」は「僧侶」を指します。
由来は、「普段は落ち着いて慌てる様子も見られない僧侶が、12月になると仏事で忙しく走り回る様子」からきていると言われています。
12月には仏名会(ぶつみょうえ)という大きな法要の行事が行われます。
仏名会はその年に「行動・言葉・心」の三業(さんごう)により犯してしまった様々な罪を懺悔し、心身ともに浄めるための仏事です。
過去・現在・未来の三世それぞれに一千ずつ現れる仏の名前を3日間唱えて、罪の消滅を祈るそうです。また、現代において先祖の供養と言えばお盆やお彼岸を思い浮かべる方も多いと思いますが、本来は年末年始も先祖供養をする大切な期間でした。
年末の内に大掃除をして家の中を清め、門松や松飾りを玄関に飾りますが、それは新しい年の歳神様をお迎えするための目印とされています。
そして、民間信仰ではその歳神様は祖霊となった祖先であると考えられていました。
そのため、年末の内に読経を望む檀家を回らなければならない僧侶が大変忙しくしていることも「師走」の由来とされているそうです。
今月は「事納め」「針供養」「すす払い」「正月事始め」「冬至」「お正月の準備」など多くの行事がある月です。(クリスマスもありますね)
世の中も全体的にせわしなくなる月ですが、時間を見つけて何か行事を体験してみると新しい発見があるかもしれません。
(植木乃梨子)