私が世界に紹介したい美しい日本語は、「阿吽の呼吸」である。二人以上で一緒に物事をする時の互いの微妙な気持ち、またそれが一致することをいい、「あうんのこきゅう」と読む。二人以上で何かをする時に、絶妙なタイミングや間合いでそれがピタリと一致し、お互いの呼吸が合っている様子を表す慣用句である。言葉を交わさなくとも意思の疎通が取れていること、息が合っている時に使用する。
例えば、私の特技はバスケットボールである。ボールを持っている自分とボールを持っていない味方のプレーヤーがパスを受けてゴールするプレーは、まさに阿吽の呼吸である。サッカーやバレーボールなど他の団体競技における連携プレーも同じである。
阿吽とは、元々仏教の言葉である。「阿」は万物の始まりで口を開いて息を出すこと、「吽」は終わりで口を閉じて息を吸うことを表す。阿吽の二文字に物事の心理が込められている。一対とする仁王像や狛犬などによく見られる形である。向かって右側、口を開けて「あ」と表現しているものが「阿像」、口を閉じて「うん」と表現しているものが「吽像」である。つまり像の表情は、「あうん」の音を二体で表現している。
英語では、They know what to do without exchanging words. (言葉を交わさなくても気持ちが通じ合っている)である。現在では、あまり耳にしなくなった言葉であるが、日本の文化を代表する言葉である。コミュニケーションが難しくなっている現代にこそ、英語表現ではなく「ウォークマン」や「カイゼン」のように「アウンノコキュウ」として、世界中に広めたい。
(ウラの文章添削士 トニーヤマコ)