【藤崎尊文】私が文章添削士になった理由

青ペンがくれた自信

「添削」という言葉はあまり好きではなかった。塾講師として生徒の答案を添削することも多いのに、だ。

 思い出すのは、自分が生徒だった頃に受けた添削である。大きなバツ印だけがついて返ってきた英作文。欄外に辛辣なダメ出しだけが書かれた社会の論述。そうした嫌な記憶を心の片隅でくすぶらせながらも、自分もまた同じような「添削」をしているのではないか、という不安があった。

 そんな悩みを抱えていた時に、「文章添削士」の養成講座があることをSNSの広告で知った。様子見程度のつもりで、説明会に申し込んだ。

「よい添削者とは、…」

 主宰者の言葉に、私は衝撃を受けた。添削とは、指導者が答案を紅に染めて権力を振りかざすことではない。学習者がより良い答案を書けるよう、支援することなのだ。「添削士」になりたい。そして、より良き学びの支援者を目指したい。熱い気持ちをそのままに、講座への申し込みを決めた。

 講座で教わったことの1つが、「添削は赤青2本のペンで行う」だった。表現に関する指摘を赤、内容に関する指摘を青のペンで書き込む。色を分けることで目的別にコメントが整理され、生徒が添削結果を見やすくなる。翌日私は早速青ペンを買い、常用の筆箱に入れた。

 だが、青ペンを取り入れた効用は、単にコメントを見やすくなっただけにとどまらなかった。赤ペンだけで添削をしていたときは、表現であれ内容であれ、答案の改善すべき点にばかり目が行っていた。しかし、青ペンが加わったことで、「表現はほぼ問題なし/内容に課題あり」「表現に課題あり/内容は独自性がある」のように、その答案が達成できていることにも目が向くようになった。養成講座を経て添削士になったことが、気休めではない自信と専門性を与えてくれたのだ。

 青ペンがくれた自信を胸に、添削士としてさらに高みを目指していきたい。いま、私は「添削」という営みに大きな希望を抱いている。

(藤崎尊文)

   

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