早いもので、1年の三分の二が過ぎ、もう9月になりました。
まだまだ残暑はありますが、今月はお彼岸もありますので、そこを過ぎればかなり過ごしやすくなるでしょう。
さて、恒例の和風月名ですが、9月は『長月(ながつき)』といいます。
名前の由来は諸説ありますが、『夜長月(よながつき)』が略されて『長月』になった説が有力です。秋分を過ぎて日が短くなり、夜がだんだんと長くなっていく様子を表したものと言われています。実は9月には『長月』の他にも様々な異名があり、少し調べただけでも、晩秋、長雨月、菊月、寝覚月、彩月、詠月、青女月、竹酔月、紅葉月などが出てきます。これは様々な地域または人々が、その季節の特徴を言い表して呼んだ名前だと思いますが、それぞれにとても趣があります。
月の呼び名だけに限らず、昔の人々の言葉のチョイスにはいつも感心させられます。本当にその季節の特徴をよくとらえており、自然に対する描写力が素晴らしいです。何か気になる名前があった方は、ぜひお調べになってみてください。
現代では9月に入ると、そろそろ「秋が来る頃」とか「初秋」という言葉が浮かぶのではないかと思いますが、実は既に8月7日に立秋を迎えています。暦の上では秋になってからもう ひと月近く過ぎているということです。
最近は省略されることが多いそうですが、以前はビジネスであっても個人的なものであっても、手紙の冒頭に時候の挨拶を入れるのがマナーのひとつとされていました。立秋を迎えると「初秋」になります。だから8月の時候の挨拶で「初秋の候」と使っても間違いではないのですが、暑い盛りの頃なので暦と体感が全くリンクしません。
現実的な感覚としては9月の方が「初秋」という言葉が合いそうです。しかし、「初秋」の期間は二十四節気でいうところの「立秋」から「白露」までとされています。2023年の「白露」は9月8日ですので、それを過ぎたら「白露の候」や「仲秋の候」などに変えていきます。
今月は「お月見」や「重陽の節句」「敬老の日」「秋のお彼岸」「秋分の日」など季節の行事が多くある月です。
古くから伝わる行事に触れることが多い月となります。若い世代の方や小さなお子様にも是非体感していただき、それぞれの行事を行う意味にも触れていただけたらと思います。
(植木 乃梨子)