「私、全然書けないんですよね…」
文章添削士養成講座では必ず受講生の方に文章を書いてもらう課題があります。課題を出してもらった上で講義の中で「ここは良いですね」とか「ここを改善するとさらに良い文章になります」といった形で講師から解説を受けるという流れで進んでいくのですが、実際に養成講座のアシスタントを務めていると受講生の方からこのような感想を聞くことがあります。
私がその受講生さんから提出されてきた課題の答案を読んでいると、ある程度のレベルを達しているにも関わらず、なぜそのような感想が出るのかなぁ…と思っていました。
しかし、よくよく考えていくうちに、人によって「書ける」という定義が違うのだということに気付きました。
例えば、私にとって「書ける」というのは一言で言えば、「自分が見たり聞いたりしたことをありのままに伝えること」です。
この「ありのまま」というのは、できるだけ自分の主観を入れずに客観的に表現するということも含めています。自分の想いをそのまま伝えるだけでなく、全体を俯瞰した内容を入れることで、より臨場感のある文章が書けた時に初めて「書ける」という状態だと考えます。
スポーツ観戦や旅行記などで、読むだけで読者が熱量や情景を思い浮かべることができるのが理想の姿です。
とは言っても、思い入れが強くなるとどうしても自分の主観が強く入ってしまうので、その部分は常に課題だと思って日々文章と向き合っています。
その一方で、人によっては「人に伝わる文章を書く」、「ベストセラー作家になる」、「相手のリクエストに応えることができた時」など、相手(または読者)目線で書かれている方も多いでしょう。逆に「要求された内容に沿って書けていればいいや」といった意見をあるかもしれません。
ことばは、私たちの生活に欠かせないものであり、私たちがお互いにコミュニケーションを取るために使用し、自分の考えや感情を表現するための大切なツールです。また、自分自身がことばを通して成長し、学び、発展していくために必要不可欠なものでもあります。
5月18日は「ことばの日」です。
ことばの日とは、ことばを大切にし、人と人が通じ合うことに感謝し、ことばで暮らしをより豊かにすることを目的とした記念日です。日付は「こ(5)と(10)ば(8)」の語呂合わせからきています。
出典:ことばの日(5月18日)|意味や由来・広報PRに活用するポイントと事例を紹介 | PR TIMES MAGAZINE
2019年に制定された比較的新しい記念日ということですが、文章添削士という「ことば」や「文章」と向き合うことが多い立場でもあります。ことばを大切にし、ことばで伝えることの意味を考えるきっかけにできればと考えています。
(茅根 康義)
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