日本の行事は中国由来のものが多いのですが、長い時間の中で日本の文化と融合しながら次第に進化していきました。
特に、日本ならではの季節感と深く結びついて独自の行事となったものが今なお多く残っています。
私たちの国には『季節を表す言葉』が非常に多く存在しています。
1から12までのように、単なる月の順番を表すだけでなく、その月の特徴を表しながら呼ばれていた月名には当時の生活や先人たちの想いも感じられます。
今回は、新年の初ブログですので1月を表す季節の言葉からご紹介していきます。
最も良く知られている和風月名は『睦月(むつき)』です。
無事に新年を迎えられたことを、家族や親族とともに仲睦まじく祝うことから最初は『睦び月(むつびつき)』と呼ばれていたそうです。それが次第に変化して『むつき』になったと言われています。
また、旧暦の元日は新暦の『立春』頃にあたるため、『初春月(はつはるづき)』や『早緑月(さみどりづき)』のように“春を感じさせる異名”もあります。
今回は、もうすぐ『人日の節句』を迎えますので、五節句についても少し触れておきたいと思います。
『節句』とは、“季節の節目になる日”のことを言い、古くからある年中行事の中でも特に重要な行事を行う日とされてきました。
元々中国から渡ってきた時には、沢山の節句の日がありましたが、日本の文化と融合していく中で少しずつ少なくなっていきました。
江戸時代には幕府が特に重要な節句を公式の祝日に制定したことから、日本における節句は次の五つとなりました。
1月7日『人日(じんじつ)の節句』
3月3日『上巳(じょうし)の節句』
5月5日『端午(たんご)の節句』
7月7日『七夕(しちせき)の節句』
9月9日『重陽(ちょうよう)の節句』
陰陽五行説では、奇数=陽数(吉)・偶数=陰数(凶)とされています。
上記五つの節句のように、奇数同士を足して偶数になる日は“陽から転じて陰になりやすい”と考えられていたことから、邪気を祓うための行事が行われていました。
1年の中で最初に来る節句は1月7日の『人日の節句』ですが、別名を『七草の節句』と言います。
この日の朝は、万病除けや邪気祓いになると言われる7種類の野菜と野草を刻んで炊いた七草粥を食して1年間の無病息災を祈ります。
また、1月7日で松の内も終わり、翌日からは通常の生活に戻ります。
正月料理で疲れた胃をいたわり、体調を整える意味でも理にかなった行事となっています。
(植木乃梨子)