【寺田隆人】私が文章添削士になった理由

日本語業を生業に

“日本語業”──くだけた表現なら、“日本語屋さん”になるだろうか。

 しかし、この言葉を聞いても、ピンと来ない方が殆どであろう。これは私の造語なので、辞書を引いてもインターネット上で検索してもこの言葉の意味を調べられないのは当然である。

 それでは日本語業とはどのような業種だろうか。

 具体的に言えば、編集者、作家、記者、国語教師、言語学者等の日本語を取り扱う仕事を指す。もちろんこれらは一例であり、他にも日本語業で括れる職業を列挙すれば枚挙に遑(いとま)が無い。そして、文章添削士がこの並びに入るのは言うまでもない。

 私の日本語業としての最初の一歩は評論同人誌の編集だった。

 プロの編集者の方から見れば、私なんかはアマチュアで青二才の編集者見習いだ。編集者向けの学校にも通って知識を得ているが、実務の経験は皆無に等しい。勝手ではあるが、今後協会からいくつか教材を販売する予定があるので、協会内でその経験を積ませていただきたい。

 編集と添削も同じ日本語業だが、これらの違いはどこにあるだろうか。

 原稿を編集する場合は、読み手に伝わるか、どの様に版面を組むか、書籍として売り上げが伸びるか等の論点が挙げられると思うが、添削の場合は書き手の作文技能の向上が最終的な目標になる。
 添削においても読み手に正確に書き手の意図を伝えられるように文章を手直しすることは頻繁にあるが、それと同時に、書き手がより良い文章が書けるようになってもらえるように文章添削士は意識しなければならない。要するに、添削には教育的視点が内包されているのだ。

 今、私は協会内である教材の編集に携わらせていただいている。もし、読者の皆様の目に留まることがあれば、是非手に取ってくださればこの上なく幸いであるし、あるいは、何かしらの文章の添削依頼を頂戴できれば同様に幸甚(こうじん)である。

(寺田 隆人)

   

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