おはよう靴下

今回は私が住んでいる仙台の方言を紹介します。それは、「おはよう靴下」です。

「おはよう靴下」は、穴のあいた靴下から親指の先が「おはよう」と顔を出しているように見えることから定着したとされています。

私と「おはよう靴下」の出会いは、母親がよく使っていたことからでした。
ぐんぐん成長する小学生の頃、靴下の親指部分に穴があくことが多々ありました。
母親から教わった言葉を好み、兄弟間でもふざけて言い合っていました。

特に、鬼ごっこや縄跳びなど足を活発に動かした日には大変です。
よく足の親指先だけが「ぽんっ」と靴下から顔を覗かせます。
家に帰って靴を脱いで、気が付くのです。私の頭の中で母の言葉が浮かびます。
なんともコミカルなネーミングセンスに私は幼心に魅了されていました。

とある日。友達の女の子が、

 「お気に入りだったのに~」

と残念そうに、親指を覗かせ穴のあいてしまった靴下を眺めていました。そこで私は思わず、

 「おはよう靴下だね!」

と言いました。すると、友達はキョトン顔に。

 「なんで靴下がおはよう?朝に履くから?」

と返答され、私は面食らってしまいました。

宮城県の中でも、一部の地域や世代にしか浸透していない言葉の存在をそこで初めて知ったのです。私にとって、初めてのカルチャーショック。友達から学んだ社会勉強でした。

時を経て、改めて調べてみると、「おはよう靴下」は2017年にテレビのケンミンショーで取り上げられています。また、現在はこけしの姿をした仙台のキャラクター「仙台弁こけし」による「おはよう靴下」のLINEスタンプや、ワンポイント刺繍がかわいい「おはようくつした」が販売されています。

皆さんの地元にも愛される方言はありますか?

(工藤 ゆり)

   

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