文章添削士の目から見たエッセンシャル思考について

2014年に書かれたグレッグ・マキューン氏による『エッセンシャル思考』を再読しました。
最初にこの本を読んだのは、出版されてすぐの頃。
2015年度か2016年度、仕事が本当に忙しくて、その忙しさをなんとか軽減できないかと思って、藁にもすがる思いで読んだことを思い出します。

その時は、あまりの仕事の量に、結局『より少なく、しかし、より良く』を実践することは叶わず、徹夜と力技で山場を乗り切ったのですが、
あらためて文章添削士の立場で、文章を書き・添削することを想起しながら読み直すと、新たにたくさんの学びがあったので、備忘として文字化しておきたいと思います。

エッセンシャル思考のキモ

エッセンシャル思考のキモは前述の通り『より少なく、しかしより良く』です。
ただ、取り組みを少なくすればいいということではなく、自らの時間とエネルギーを最も効果的に配分し、最も重要な仕事で最高のパフォーマンスを上げようとすることが、エッセンシャル思考の目的です。

エッセンシャル思考を実践する流れ

エッセンシャル思考を実践する流れは
① 自分を整える
② かくありたいという具体的な目標を定める
③ 目的に合致した時間を割くべき仕事を選択する
④ それ以外のことを明確に断る
⑤ ③④を仕組み化して、着実に再現し続ける

という5段階に整理できるのではないかと私は感じました。

本書をお読みで無い方のためにひとことずつフォローすると、

① の自分を整える、は、冷静に取捨選択ができるように、睡眠時間の確保など、心身を整える環境とルーティンを持とうということです。
② のかくありたい具体的な目標を定めるとは、具体的かつ刺激的な自分にとって本質的な目標をしっかりと自覚しよう、ということです。
③ は、自分が定めた具体的な目標を達成するための、仕事を選びそれに成長する、ということです。パレートの法則をイメージして、全体の2割に集中しましょう。
④ は、その選択から漏れた8割の仕事をどう断るか、というティップスです。
⑤ は③と④を習慣化し、『仕事を選び、断る』ことの心理的なストレスを最小化するための考え方と行動方法を述べています。

それらを通して、本質的に取り組む目標を達成するために、自分が心地よくあるために必要不可欠(エッセンシャル)なことに集中し、結果として最大の成果を産もう、という考え方が、エッセンシャル思考なんだと、私は理解しました。

エッセンシャル思考と文章作成の共通点

エッセンシャル思考と文章作成に共通している重要な点は、やはり『より少なく、しかしより良く』であると思います。

文章作成において、必要なことだけを、必要なことだけで述べる。
これがいかに難しいか。

言わないといけないことのために、言いたいことを我慢する。
本筋の結論を際立たせるために、その周りのことは極力排除する。
排除するんだけど、言いたいことは誤解なく伝わるようにできる限りの配慮をする。
そういうことが文章を書く際でのエッセンシャルな思考なんだと思います。

エッセンシャル思考に沿って、文章作成の流れを考えると以下のようになります。

① 自分を整える、は、『冷静に文章を書く気持ちになる』
② かくありたいという具体的な目標を定める、は、『今ここで何を書くべきかを定める』
③ 目的に合致した時間を割くべき仕事を選択する、は『書くべきことを明確に認識する』
④ それ以外のことを明確に断る、は『今、書くべきこと以外の思いつきは絶対に書かない』
⑤ ③④を仕組み化して、着実に再現する、は『その練習を積み重ねる』

以上のように読み替えれば、エッセンシャル思考と良い文章を書くための思考は全く同じだと私は感じています。

ライフ アズ エッセンシャルに

エッセンシャル思考とは、仕事をエッセンシャルにすることをうたう本です。
エッセンシャルな文章作成は文章をエッセンシャルにすることです。

でも、本当にエッセンシャルにすべきは、ライフそのものではないかと、私は感じます。
「より少なく、しかもより良く」を生活全体に取り入れた場合、私たちの衣食住はどう変化するでしょうか。
人生の目標の持ち方、目の前の事柄に向かう姿勢、家族や地域コミュニティへの関わり方など、多くのことについて、向き合い方に変化がありそうな気がします。

そして、そういうエッセンシャルな立ち振る舞いや考え方が、体現できるようになったら、エッセンシャルな思考やエッセンシャルな文章作成が本当の意味で実現できるようになるんじゃないかと、感じています。

ライフ アズ エッセンシャルを通して、エッセンシャルな文章をかける書き手に私はなりたいと思いますし、そういう添削指導ができるような添削士になれるよう精進を続けていきたいと思います。

では。

最後までお付き合いいただき、ありがとうございます。

エッセンシャル思考

   

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