記録的な猛暑の中、阪神甲子園球場で行われていた第105回全国高校野球選手権記念大会は、神奈川県代表慶應義塾高校が連覇を狙った宮城県代表仙台育英高校に勝ち、初優勝で幕を閉じました。
今回の大会は5回終了時点で10分間の「クーリングタイム」や、9回終了時点で同点の場合は「タイブレーク」というノーアウト1、2塁から攻撃を開始するという新たなルールが導入された大会でもありました。
青春って、すごく密なので
昨年優勝した時のインタビューで話をされ、ユーキャンで毎年選定している「新語・流行語大賞」で選考員特別賞を受賞している仙台育英高校須江航監督は言葉を大切にされている方です。
選手たちに対して丁寧に説明をして、コミュニケーションを大事にされている方です。従来までの指導者に多い「以心伝心」や「まずはやれ」という考え方とは一線を画しています。
そして、「人生は敗者復活戦」という言葉を常に選手たちに話をしていて、決勝戦で敗戦した後のインタビューでも、今回の経験を次に生かしていくと前向きに答えていました。
人生は敗者復活戦ぞ
人生は常に右肩上がりに成功することはなく、挫折や失敗から学び、それを糧にすることで好転するという考え方です。須江監督のオリジナルな言葉なのかと思って調べてみると、実はかつて「やまびこ打線」で一世を風靡した池田高校蔦文也監督の言葉「人生は敗者復活戦ぞ」が原点になっているそうです。
蔦監督は、甲子園に出場するまでに20年以上を要したものの、その後は春夏全国大会出場15回優勝3回、準優勝2回という輝かしい成績を残しました。
人生負け勝ち
高校野球とは少しだけ離れますが、「人生は敗者復活戦」の言葉と須江監督の話題を見ていて、元女子バレーボール日本代表監督柳本晶一さんが使っていた言葉を思い出しました。柳本さんも、2000年のシドニーオリンピック出場を賭けた最終予選では敗戦し、オリンピック出場を逃した女子バレーボールチームを再建し、2004年のアテネオリンピックに出場しました。
監督と選手が一つになったチームは強い
私が尊敬している木内幸男監督の言葉です。
今回調べていくうちに気付いたのですが、須江監督が記録員としてベンチ入りしていた2001年春の選抜大会で仙台育英高校は準優勝しているのですが、その時優勝したのは木内監督率いる常総学院高校でした。
人生は一度限りのチャンスではなく、繰り返し様々な試練に直面します。成功や幸福を手に入れるためには、何度も失敗や困難に立ち向かい、そこから立ち直って挑戦し続けることが大切なのだと改めて実感する夏でした。
(茅根 康義)