たったの3つ!センスがなくても文章が書ける簡単なコツとは

1.【そもそも文章力とは?】

 あなたは、文章が得意な方のことを「文才」と解釈されていませんか?「文才」は先天的要素、「文章力」は後天的要素が強く、身体を鍛えるのと同様に文章も日々のトレーニングで鍛えることが可能です。

 文章力とは「読み手にわかりやすい言葉で表現できる能力」、すなわち「自分が言いたいことを文章で正確に伝えられる力」です。誰しも文章を書くうえで達成したい目的があるはずです。誰にどんなことを伝えたいのかを整理して、目的達成のためのルートを逆算することが大切です。自分が書きたい文章や目指したい文章に必要な材料と今の自分に足りない能力は何かを見極めましょう。

 たとえば、受験で出題される小論文や仕事でのビジネス文書の場合は論理力が必要です。一方、小説やエッセイは読み手の感情に訴えるような表現力が求められるでしょう。
 今回は、【文章力を鍛えるトレーニング方法】についてお伝えしていきます。まずは、3つの文章力アップを目指すトレーニングを紹介します。日々トレーニングを実践し、「文章力」を向上させていきましょう。

2.【文章力UPのコツ3選】

コツの3ステップ

  1. 文章を視写する
  2. 文章を要約する
  3. 文章をリライト(書き直し)する

①文章を視写する

 「視写」とは、文章の「丸写し」です。文章を「視」ながら「写」すことを「視写(ししゃ)」といいます。「丸写し」なら簡単にできそうに感じませんか?

 実際に、作者になったつもりで文章をそのまま書き写すことで、作者の文章力を疑似体験できます。文章が読むのも書くのも苦手な方におすすめのトレーニング方法です。自分の文章との違いや書きにくさなど新たな発見や気づきを得られることでしょう。「手書き」をすることで、文章にある「言葉」や「意味」、「文節」を捉えられます。最近では、「手書き」にこだわらずパソコンで文章を打ち込むことでも効果があるといわれています。

 小論文の練習のおすすめは、気になった新聞や新書の文章です。主張が明確で分かりやすい文章にたくさん触れてください。文章と原稿用紙を準備して視写しましょう!視写することで、あなたの文章経験が増えて、知らぬ間に文章力がアップします。

②文章を要約する

 「要約」とは、文章を読み、要点を見つけて言葉を繋ぎ合わせ、文字数に合わせて文章化すること」です。文章を書くために、テーマを決めて伝えたい要点を考えるためのトレーニングに役立ちます。「要約」をする際は、「文字数設定」をして複数作ってみましょう。文字数の肌感覚を持てるようになると、文章作成がぐっと楽になります。どの程度の文字数でどの程度の内容が書けるのかをつかむことが大切です。

Point!「要約」のおすすめ文字数設定

  • 「200字」→文章全体のミニチュア
  • 「100字」→主張の核+最低限の説明
  • 「 50字」→文章の主張の核
  • 「 20字」→見出し

 上記の文字数を参考に、選択する言葉の数と文章の内容を変化させてそれぞれの文字数で要約を作りましょう。「要約」することで、あなたの文章力は飛躍的に向上します。

③文章をリライト(書き直し)する

 「リライト(rewrite)」とは、文字通り「書き直し」です。ある文章に違和感を感じたら、より分かりやすく自分の言葉で書き直してみましょう。

≪例文≫(リライト前)

私は上司に新人教育を任命されたが、マニュアルにない作業など独自の基準でルールを決めて、他部署との連携も含めて、新入社員に現場で指示する機会を設けるなどの采配をとり、新人教育とチームとしての基盤を構築した。

≪例文≫(リライト後)

私は上司に新人教育を任命されたが、マニュアルにない作業などを洗い出し、独自にルールを決めた。また、他部署との連携も含めて、新入社員に現場で指示する機会を設けるなどの采配をとった。結果として、新人教育とチームとしての新たな基盤を構築した。

 このように、分かりづらい文章を見つけたら文章力アップのチャンスです。自分の言葉でリライトしてみましょう。書き直しをすることであなたの文章力は必ず向上します。以上、3つの文章力アップを目指すトレーニング方法を実行することで、あなたの文章力は必ず高まります。

3.【文章を書くまでにすること】

 文章を書くためには、書きたいテーマに対する情報が必要です。たとえば、就職試験の志望動機では志望先を目指した根拠となる情報が必要です。また、売上報告書では今月の売上と先月や前年比の売上との比較データが必要でしょう。必要な情報を仕入れて、整理することで文章を作成できます。

■文章作成の流れを把握する

●文章作成の流れ3ステップ

  1. インプット…情報を仕入れる
  2. アレンジメント……仕入れた情報を整理する
  3. アウトプット……整理した情報を文章化(言語化)する

 上記の流れは、一見難しい工程に感じるかもしれません。しかし、私たちは自然に必要な情報をキャッチし、日頃から実践しています。たとえば、料理をする工程を思い浮かべてみてください。

≪例1≫料理をする工程での情報の流れ

     
  1. インプット…情報を仕入れる
  2. ●調理したいメニューやレシピをインターネットや本で調べる
     
  3. アレンジメント……仕入れた情報を整理する
  4. ●作りたいメニューを厳選し、必要な食材を準備する
     
  5. アウトプット……整理した情報を文章化(言語化)する※ここでは料理の完成とする
  6. ●実際に調理し、食卓に並べて頂く

 このように、私たちは日頃からあらゆる情報をキャッチして、自分の中に情報を落とし込み、目的に沿って行動しています。それでは、実際に本題の「小論文」を書いていきましょう。

≪例2≫小論文を書く工程での文章作成の流れ

     
  1. インプット……情報を仕入れる
  2. ●出題されたテーマについて事前に調べる(インターネット、新聞、雑誌、本、社会的経験によるさまざまな直接経験など)
     
  3. アレンジメント……仕入れた情報を整理する
  4. ●集めた情報を整理する
    ●集めた情報と出題テーマについて自分の意見を持つ
     
  5. アウトプット……文章化(言語化)する
  6. ●整理した情報から自分の意見を表明する

①インプット……情報を仕入れる

 あなたは「情報」と聞いて何を思い浮かべますか?多くの方はインターネット、テレビ、YouTube、Twitterなど主にメディアや媒体を思い浮かべるのではないでしょうか。しかし、メディアが発信する情報を本当の意味で理解するためには、個人のさまざまな経験が必要です。
 たとえば、東日本大震災で大きな被害を受けたニュースを見た我々は言葉を失いました。現地での震災復興を目指した取り組みは、その場に居る者にしか分からない思いがあります。メディアを通した情報を聞き流すだけでは、本当の意味でその出来事を理解することはできないのです。

 当時、現地に出向いてボランティア活動をする方が多く見受けられました。実際に動いてさまざまな経験を積むことで、個人個人の人生に深みが増し、メディアから溢れる情報をより深く取り入れることができます。小論文を書く上で、説得力を持つエピソードの代表が自分自身の経験です。自分自身で経験した出来事は何にも代えがたい宝物であり、堂々たる主張の根拠となるのです。

Point!情報を仕入れる方法

  1. 「直接経験」からインプットされる情報
  2. 「メディア」を経由してインプットされる情報

②アレンジメント……情報を整理する

 次に、①で集めた情報を整理していきます。出題テーマに沿った多くの情報を持っていたとしても、自分の頭で解釈して相手に伝えられなければそれは単なる素材に過ぎません。それでは情報のストックが増えていく一方です。たしかに、素材として多くの情報をストックしておくことで必要な時にストックから情報を取り出すことができます。

 しかし、相手に伝えるためには③アウトプットが必要です。特に小論文を書く上で、自分の意見を述べることはマスト事項です。情報をストックするだけでなく、日頃から自分の意見を持ち、相手に伝えるためにも情報の整理は欠かさず行っておきましょう。

Point!自分が集めた情報を整理する方法

  1. 自分自身の「感情」を日々観察し「言語化」する
  2. 筆者の意見に対して「これは本当だろうか?」と疑問を持ち自分に問いかける
  3. ある出来事に対してどのような「価値判断」を下すかを考える
  4. 自分に馴染みのない情報も取り入れる
  5. 「二者択一」の思考に限定させずに、思考の可能性に幅を持たせる
  6. 「とある事実や意見」を基準に360度あらゆる方向で思考の幅を広げる
  7. 「なぜ?」と自らに何度も問いかけ、「なぜなぜ分析」を怠らない
  8. 「同類は?」「対極は?」「昔は?」「このままいくと?」という問いかけの方向性を変化させる

③アウトプット……整理した情報を文章化(言語化)する

 ①、②で情報を仕入れて整理してきました。いよいよ最終段階である文章化(言語化)です。これまでに整理した情報を外へ発信していきましょう。どんなに書き方のコツを学んだとしても、それだけでは文章力は向上しません。時間を作って、小論文を書く練習をしましょう。

 そして自分の文章を周りの人に見てもらい、フィードバックを受けてください。フィードバックを参考によりよい文章となるようにさらに改善していきましょう。添削してくれる方が近くにいない場合は、私たちプロの文章添削士にお任せください。

 自分の文章が客観的に評価されることで、気づくことが多くあります。他者に添削してもらったフィードバックを受け止めて、再度書き直しをすることで小論文の実力は確実に上がっていくのです。
 文章力は突然上がるものではありません。毎日コツコツとトレーニングしていきましょう。文章作成に欠かせない「①インプット」「②アレンジメント」「③アウトプット」。どこからスタートしても大丈夫です。自分に足りない部分から始めていきましょう。このポイントを意識しながら、小論文の練習をしていきましょう。

4.【まとめ「わかりやすい文章を書く力を鍛えよう」】

 文章力を鍛えるためには、身体を鍛えるのと同じように日々の訓練が大切です。いくら参考書を読んで書き方を学んだだけでは自分の文章は変化しません。文章力を鍛えるためには実践あるのみです。文章や小論文を書いて目的を達成するためには事前準備が重要であることを認識いただけたでしょうか。
 最後に「わかりやすい文章を書くためのポイント」をお伝えします。

■役に立つ!わかりやすい文章を書くためのポイント

  1. 一文はできるだけ短く、一文一義で
  2. 接続助詞「が」はできるだけ使わない
  3. 必要な主語はなるべくあらわにする
  4. 文と文をつなぐ語句をなるべく使う
  5. 文末はできるだけ簡潔にする
  6. 同じ概念は同じ語で表し続ける
  7. 「と思う」「と感じる」「と考える」はできるだけ使わない
  8. 一段落一義で適切に段落分けをする
  9. 他者の文章は正確に引用する
  10. 他者の文章に対し、文章の内容を超えてその人の人格に言及してはならない

 今回は、【文章力を鍛えるトレーニング方法】についてお伝えしました。ポイントを押さえて、説得力のある小論文を書けるように日々文章力を高めていきましょう。

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