6月ももう、後半に入りました。
もう間もなく2023年の上半期が終了し、1年の折り返しとなります。
以前からこの歳時記シリーズで書いておりますが、日本人は昔から折に触れ、日常生活の中で溜まった厄を祓いながら生活してきました。
奇数の月におこなわれる節句の行事や、冠婚葬祭、人生の通過儀礼なども全て「厄を祓って、これからの無事を祈る」ということに繋がっています。
このような厄払い儀式の中で、比較的大きな行事が今月末、全国的に行われます。
それは、『夏越の祓(なごしのはらえ)』です。
年末の大晦日には『年越しの祓(としこしのはらえ)』がおこなわれますが、『夏越の祓』はその上半期版です。
旧暦では、この日を境に(夏を越して)秋を迎えたことが、この名前の由来になっています。
この行事で行われることで代表的なのは、神社などで行われる『茅の輪(ちのわ)くぐり』です。これは、茅(かや)で作った大きな輪を数回くぐることで、半年分の厄が祓われ、その後、半年を健康に過ごせると言われています。
茅の輪くぐりの作法は、色々なサイトで説明されていますが、日本三大稲荷と言われる祐徳稲荷神社(佐賀県)の公式YouTubeによる『茅の輪のくぐり方』という動画が非常にわかりやすいので、下記にご紹介しておきます。
また夏越の祓では、茅の輪くぐりだけでなく『食べる厄払い』もよく行われます。
米粉を蒸して作る“ういろう”に、小豆を乗せて三角形に切り分けた『水無月(みなづき)』という和菓子を食べる風習です。昔から小豆は赤い色をしているので、魔除けの効果があるとされていました。さらに、ういろうの白い部分は氷に見立てられ、暑気払いとしての意味もあるそうです。涼し気なガラスのお皿に乗せていただくと、より一層その効果がありそうです。
多くの方が春からの新生活や、企業などでの新年度が少し落ち着いてきてホッとしている頃かもしれません。気が緩むと体の不調も出やすくなります。これから梅雨明けにやってくる夏の暑さを乗り切るためのも、ここでしっかりと厄落としをし、体調を整えておきたいですね。
(植木 乃梨子)